くろいぬの矛盾メモ

旧・はてなダイアリーから移行しました。現在は「モフモフ社長の矛盾メモ」 をたまーに更新しています。

鍵は「見える化、ネタ化、再素材化」。ニコニコ動画発、和風Web2.0


ニコニコ動画は、β版を見た時から、過去のあらゆる国産Webサービスの中でも
ズバ抜けたオリジナリティとセンスだと感心していたが、
今回の「ニコニコ市場」の導入で、ひとつの完成型に達した感がある。


子飼弾氏のブログより。

>民放、オワタ\(^o^)/


>これがいかに画期的かというと、TVに例えればわかる。
>番組制作者ではなく、視聴者がCMを入れることができるTV局。
>そんなものが、かつてあっただろうか。


子飼氏のエントリの内容は、ニコニコを見ている人にはわかりきったことばかりだが、
コメント欄での反発の多さで逆に確信した。
ニコニコ動画は、日本国内の動画サイトとして間違いなく天下を取る。
あの反発は、今までの常識を覆す「理解したくないもの」に出会った時の反応だ。


Youtubeも、Gyaoなどの無料放送も、テレビ局直営の動画サイトも、ニコニコ動画
柔軟な発想力と旧来の常識を飛び越えるスピード感には勝てない。
唯一懸念されるのは、まだβ版であるモバイル版のローンチがうまく行くか
どうかだけだ。
国内で言えば、PCよりモバイルの方が競合が強力だ。
2chとは違うノリの巨大なユーザー市場を、うまく取り込めるかが見物だ。



そもそも動画のアップロードは違法!違法!と言う人がいるが、著作権
が許可をするか、見て見ぬふりをすれば、それは合法になる(非申告罪)。


この辺りの感覚は、映画を地上波放送し始めたり、ビデオレンタルを
始めた頃の映画会社の猛反発と似たようなものを感じる。
コミケなんて著作権侵害そのものだが、オタク市場の大きな原動力だから
余程のことが無い限り、見て見ぬふりされているわけだ。


要は、著作権者側は利権を確保&拡大出来ればいいわけだ。
ニコニコ動画で売上げがあがっていることが証明出来れば、文句を言わなく
なるどころか、逆に広告媒体として認知されるようになるだろう。



何と言っても、動画関連商品のアフィリエイトをここまでオープンに
やってしまうことが実に素晴らしい。
商品を設定するのはユーザーだし、クリック数も売上げも、全部丸見えである。


言うなれば、アフィリエイトの「見える化」である。
こそこそ広告を貼って隠れて小金を稼ぐのではなく、売上げまでを完全にオープンにしてしまう。
この潔さがサイトへの信頼感や共感につながるし、売上げが少なければ応援しようと
言う気にもなる。
逆に売上げが凄ければ、「こんなに買ってるなら俺も」と言う集団心理が働く。
どっちに転んでも良い方法である。



さらに、ニコニコというか2ch系サービスの凄い所が「ネタ化」だ。
動画の関連商品のラインナップや売上げ数さえもネタにしてもらう。
捨て身の突撃で、アホな関連商品を自腹で買うこともギャグになる。
たとえば、アイドルマスターの曲「Go My Way」が「ごまえー」に
聞こえるという理由で、「ゴマ和え」の素を商品リストに並べ、
それを多くの人が買うなどの現象だ。
このアフィリ商品の「ネタ化」は、2chのスレッドを紹介する
サイトで始まったものだが、「見える化」と組み合わさることで、
ひとつの完成型に達したと思われる。



最後に付け加えたいのが「再素材化」。
これは、ニコニコ動画の本質でもあり、Youtubeなどの本家Web2.0
遙かに超えた部分でもある。


ユーザーの参加の仕方は、面白い動画にコメントを入れたり、口コミで
広めるだけではない。
誰かがアップしたネタ動画を素材にして、さらに独自の再編集を加えて行く。


そうして出来た無数のアレンジバージョン(しかも高品質)は、
さらに口コミを拡大していく。
オンラインゲームのプレイ動画をネタ画像にする文化は、
欧米にもあるが、ここまで(アイドルマスターのムービーなど)
偏執狂的な編集をする文化は、日本ぐらいにしか無いと思われる。


見える化、ネタ化、再素材化」


いわゆるWeb2.0的なサービスが集団知の形成をベースにしていると
したら、それが日本で根付くために必要なのはこの3つの要素だろう。
これは、もはや日本独特のWeb2.0が始まったと言っていいと思う。


見える化が全く進んでいないことを利用して、情報格差で設けようとする
モバイルのWebと、とにかくオープン化へ流れて行くPCのWebとの方向性の違い
(時代のズレ?)がまた少し大きくなったように思う。


昨今は、モバゲーや顔ちぇきなど、モバイルのサイトばかりがニュースに取り上げ
られるが、今回のニコニコ市場の大革命は、日本のPCサイトにニコニコ動画あり、
と言うことを知らしめてくれた。


今後の発展と、一般層への広がり(キャズムを超えるかどうか)に期待したい。